世界最大のビール祭り・『オクトーバーフェスト』その1
ドイツといえば、いちばんに思い浮かぶのがビールですね。
ドイツレポートのスタートに、毎年9月から10月にかけて、南ドイツの都市、ミュンヘンで開催される世界最大のビール祭『オクトーバーフェスト』についてお話しましょう。
ドイツ、バイエルン州の州都であるミュンヘンは、ビール造りの本場。『オクトーバーフェスト』は、そのミュンヘンの西の方にある「テレージエンヴィーゼ(テレーゼの緑地の意味)」という、42ヘクタール(東京ドーム約9個分!)の広大な広場で開催されます。そこに、毎年世界中のビール好きが600万人以上集まるのですから、その規模の大きさが想像できると思います。
開催期間は、10月の第1日曜日を最終日とする16日間ということなので、2013年は、9月21日(土)〜10月6日(日)。そう、ちょうど今、ビールの祭典の真っ最中なのです。
会場には数週間かけて、ビールテントを始め、観覧車、ジェットコースター、お化け屋敷などのアトラクション、お土産やお菓子を売る、日本のお祭りの屋台のような出店が設置されます。
『オクトーバーフェスト』のメインとなるのは、もちろん、ビールや食べ物を出す仮設レストランであるビアツェルト(ビールテント)。「フェストハレ」と呼ばれる、地元ミュンヘンの名門ブルワリー(醸造所)などが運営する巨大なテントが14棟、それ以外にも、「ヴィーズンツェルト」という、軽食や居酒屋の小さなビールテントがたくさん建ち並びます。
「フェストハレ」はテントといっても、天井も高く、色とりどりの布やリボンで華やかに飾られたビヤホールそのもの。民族音楽の生演奏や、夕方からはノリのいいポップスが流れ、夜になるにつれてテントの中ではジョッキをもった人達の大合唱が響き渡ります。
ここで、巨大テント「フェストハレ」を構える、ミュンヘンの6大ブルワリーをご紹介しましょう。
『SPATEN(シュパーテン)』
ビールの本場ミュンヘンで600年以上の歴史を持つ醸造所。世界中のビールの基礎を作ったと言われる名門で、『オクトーバーフェスト』の開幕セレモニーである開樽式は、ここのテントで行われます。
『Hofbräu(ホフブロイ)』
もともとは、バイエルン王国のビールとして、1589年に「ホフブロイハウス(宮廷醸造所)」の名で設立された、由緒ある醸造所。アルプスの丘陵地帯地下150mのピュアウォーターを使用した個性豊かな味わいが人気です。
『Löwenbräu(レーベンブロイ)』
レーベンブロイとは「獅子のビール」の意味で、日本でも馴染みの醸造所。麦芽100%のドイツビールを代表するビールとして世界中に知られています。
『Augustiner(アウグスティーナ)』
かつて、ミュンヘン大聖堂近くの修道院で醸造されていたという歴史をもつビール。自前のモルト製造場で作られたモルトのみを使用しています。
『Hacker Pschorr(ハッカープショール)』
1417年にミュンヘンに設立された老舗醸造所。
『Paulaner(パウラーナー)』
バラエティに富んだ銘柄が、地元でも人気の醸造所。名門サッカーチーム『バイエルンミュンヘン』のスポンサー企業で有名です。
巨大テント「フェストハレ」は、数千席から1万席もある壮大なビアホール。それでも、人気のブルワリーのテントは、あっという間に満席となり、通路は立って飲んでいる人達で、ご覧の通りギュウギュウ詰めの状態です。
ミュンヘンの醸造組合では『オクトーバーフェスト』のためだけに、「ヴィーゼンビィアー(緑地ビールの意味)」と呼ばれるビールを醸造し、各ブルワリーのテントでは、この特別なビールしか提供されません。
「ヴィーゼンビィアー」は、ヘレスと呼ばれる黄金色の透き通ったラガータイプのビールで、アルコールの度数は5.8〜6.3%と通常のヘレスより高めです。しかも、ジョッキは、何と1リットル!のマースと呼ばれるサイズのみ。男性だけでなく女性もみんな、この大きなジョッキでオクトーバーフェストビアを豪快に飲み干すのです。
今では、ドイツ移民の多い土地などを中心に、カナダ、アメリカ、ブラジル、オーストラリアなど世界各地で『オクトーバーフェスト』が開催されています。日本でもビール製造会社が主催して、東京、横浜、仙台など全国各地で開催されているのは、皆さんもご存じかもしれませんね。
本場ミュンヘンの規模や熱気にはかないませんが、お祭りにはビール!の気分は、万国共通なのかもしれません。
(次号に続く)