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Wunderbares Deutschland ~素晴らしきドイツ~ ― RUF本国ドイツの文化をお届けする連載コラム ―

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幻想的でロマンチックなイベント・『クリスマス・マーケット』その2

レポート・文 前川 みやこ(コラムニスト・ライフスタイルアドバイザー)

ドイツの『クリスマス・マーケット』が始まると、街中はまばゆいイルミネーションと共に、食欲をそそる香ばしいソーセージや焼き栗、焼きアーモンドの匂い、グリューワインやレープクーヘンの甘い香りでいっぱいになります。

『グリューワイン』は、赤ワインにオレンジやりんご、レモンとシナモン、クローブなどのスパイス、砂糖を入れて温めた、甘いホットワインです。ドイツだけでなく、ヨーロッパ中のクリスマス・マーケットで欠かせない冬の飲み物。カップを両手で持って白い息を吐きながら飲むと、身体が芯から温まります。


▲ 赤ワインに果物やスパイスを入れて温める『グリューワイン』

『レープクーヘン』はニュルンベルクの名物で、シナモン、ナツメグ、コリアンダー、ジンジャーなどのたくさんの香辛料とレモンピール、オレンジピール、ナッツ類、そしてハチミツをタップリ入れた平たいクッキーのような焼き菓子です。香辛料の強さに最初はちょっと抵抗がある人もいますが、これが慣れると癖になるから不思議ですね。アーヘン名物の『プリンテン』も、同じようなスパイシーなお菓子です。

『シュトレン』は、前回もお話しましたが、ドレスデン生まれの伝統的なドイツ菓子で、日本でも、クリスマスシーズンになるとパン屋さんに並びますね。酵母の入った生地に、レーズンやレモンピール、オレンジピール、ナッツ類を練り込んで焼いたパンに近いパウンドケーキで、白い粉砂糖がまるで粉雪のようにかかっています。ドライフルーツがタップリ入っているため、どっしりとしていて、きれいにラッピングされたものを手にすると、ついつい笑顔がこぼれてしまいます。薄くスライスして食べますが、一切れで満足してしまうくらいに濃厚な味わい。1〜2ヶ月ぐらい日持ちするので、お土産にも人気です。
ちなみに、本場ドレスデンのシュトレンは、バターがタップリ入った、より濃厚な味で、値段も他のものよりちょっと高めです。


▲クリスマスシーズン定番のケーキ『シュトレン』

クリスマス・マーケットの屋台には、様々なクリスマス・デコレーションやツリーのオーナメント、手作りのおもちゃや地域の手工芸品が売られています。
もともとクリスマスツリーの飾り付けが始まったのもドイツだったというのをご存じでしたか?最初はプロテスタント教徒の家や教会で行われていたものが、カトリック教徒にも拡がり、後にドイツ移民がこのツリーの伝統をアメリカに伝え、世界中に広まったそうです。

クリスマスツリーに飾るオーナメントには、ポピュラーなものでは、木製の人形や天使、楽器、りんご、藁で出来た星飾りなどがあります。
木製のオーナメントのほとんどは、ドイツ東部のエルツ山地方の職人の伝統的な手作りによるものです。他にもチューリンゲンの粘板岩山地にある小さな街ラウシャで作られるカラフルなガラスの装飾品などがあり、どのオーナメントも素朴で丁寧な作りなので、何十年という長い間楽しめます。手作りなので、1つ1つ色や形が違うのも嬉しいですね。


▲『クリスマスピラミッド』

クリスマスグッズで、あまり日本で知られていないのが、『クリスマスピラミッド』『シュヴィボーゲン』『クリッペ』『くるみ割人形』などでしょう。ドイツでは、日本のひな人形や五月人形のように、各家に大切に保管されていて、アドヴェントに入ると、窓辺などに飾るのです。

『クリスマスピラミッド』は、ドイツではとてもポピュラーなクリスマスの装飾品です。木製の組み上げた塔の形をしていて、下にろうそく立て、上部にプロペラのような羽根が付いており、ろうそくに火をともすと、その熱によって起きた上昇気流が、羽根や装飾を回転させる仕掛けになっています。
とても素朴なものですが、羽根や人形が回るとそのシルエットが部屋の壁や天井に映し出されて、とてもロマンチック。それだけで、クリスマス気分が盛り上がってしまいます。


『シュヴィボーゲン』は、窓辺に置く木製のアーチ型のろうそく立てです。今では、ろうそくの代わりに電球がついたものが多いですけどね。『クリスマスピラミッド』『シュヴィボーゲン』どちらも、ドイツ全地域で愛用されていますが、もともとはドイツ東部の名産品でした。
『クリッペ』は、キリスト生誕の様子を人形で表現したミニチュアの「人形の家」です。キリストが産まれた厩にマリアとヨーゼフ、祝福に駆けつけた賢者、羊や牛がセットになってできています。教会などの他、家庭でも飾るところが多く、木彫りのクリッペはとても高価なので、人形や小物を毎年買い足していく楽しみもあります。
アヴェントの時期になると、教会やクリスマス・マーケットに、等身大のクリッペが飾られるので、それも楽しみのひとつです。

『くるみ割り人形』は、ひげを生やして帽子をかぶった兵隊のものが有名ですね。口を開けてくるみを入れ、背中に付いたバーを下に下げるとくるみが割れる仕組みになっています。クリスマス・マーケットの出店では、いちばんの人気者かもしれません。

日本でも、クリスマスシーズンには、各地で凝ったイルミネーションが輝き、ロマンチックな雰囲気になりますが、ドイツのクリスマス・マーケットには、歴史の深さと人の温かさがあるように思います。
機会があったら、厚目のダウンを着込んで、ぜひ訪れてみてください。

写真提供:OFFICE SHIBA Inc. Winbull Co.,Ltd.

前川みやこ(Miyako Maekawa) PROFOLE コラムニスト、ライフスタイルアドバイザー

早稲田大学法学部卒。ライター、コラムニストとして小学館発行の女性誌『CanCam』『Oggi』などで創刊当初より多くの連載を持つ。2008年よりインターネット上でのコラムニスト、ライフスタイルアドバイザーとして活躍。ライブドアニュース『独女通信』などの辛口コメントで人気となる。著書に『言葉の毒』(アマゾン、紀伊国屋、SONYストア他より電子出版)があり、現在第2冊目を著作中。2013年春より「リーン・ロゼ」ブランド・アンバサダーとして活動。人気ブログ『みやこのこのみ』を公開中。2013 年8月『ことばの毒』を出版。アマゾン、その他の書店で発売中。

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